コンサルを辞めたとしたら、自分は何をしようか。コンサルを辞めた人と話し合ってみた。

たまに思う。

「コンサル辞めて、何しよう。」

こんな思考に陥る時は、いつも決まっている。コンサルとして働くことに疲れた時だ。「圧倒的に成長できる環境」。それがコンサルティング業界。自分がその業界にいて、圧倒的に成長したという実感があるけれども、まず言いたいのが「疲れた。」。

疲れていると、ふと仕事と距離を置きたくなる。さらに疲れが進むと、退職したくなる。退職が頭にちらついたらもう次のプロセスが進む。次の職場探し、「転職」が思考の中心になる。そう、「転職」が自分にとって最善の手段であるという思考。一度そうなってしまったものは仕方がない。

この思考に陥ると、自分は決まって「この感情を誰かに相談したい。」と思うようになる。できれば、職場以外の人に相談したい。

そんな思考になった3月。早速行動に移して、元同僚に相談することにした。コンサルティング業界を卒業した、元同僚に思いをぶつけることにした。その元同僚とは、いろいろ不思議な縁があり、何度か酒を飲み交わしながら、議論を交わす機会があった。

コンサル業界でもがいた同僚と、もがいている自分。そんな2人で出した結論は、コンサルティング業界で苦しんでいる人に役立つものであると思うので書いてみた。

同僚との不思議な縁

渋谷で飲んだその同僚とは、不思議な縁がある。

私たちは、コンサルティング業界に入る前、すでに同じ職場で働いていた。当時、彼は私の先輩であり、組織の中でもエースとして知られる存在だった。最速で課長に昇進した実績もある。

その後、私は彼より一年早くコンサルティング業界に入った。

そしてしばらくして彼も同じファームで働くことになった。以前は私にとっての先輩だった人と、今度は私のほうが少し先にその世界に入っていた状態で再会したのである。

所属するチームは異なっていたため、同じプロジェクトに入ることもなく、たまにしかチャットをしなかった。互いに退職した今の方が連絡を定期的に取っている。

自分と先輩。コンサルティング業界に所属して共通していたのは、お互いコンサルティングとして「バリュー」を出すことにもがいていたことだ。

コンサルを卒業

どうでもいい瑣末なことだが、コンサルティング業界はなぜ業界を”卒業”と呼ぶのだろうか。

同僚は数年間コンサルタントとして活動していたが、卒業した。コンサルティング業界で、もがいた結果だった。久しぶりにランチをして、事業会社へ転職することが決まったと報告をしてくれた時、彼はようやく解放された、言い換えると憑き物が取れたような表情だったのを覚えている。コンサルとしての終わりと事業会社への望みが混じった言葉が吐き出された時間だった。

ちなみにランチ代を奢ってくれたのは彼だった。コンサルとしては先輩である自分が、お金の話となると後輩になるのはいいのかどうか…。

私の方は紆余曲折あり、彼が転職した数ヶ月後、別のコンサルティングファームに移籍した。業界内をうろうろしている。私の場合、何を思ってコンサルティング業界に残ったのか、今となっては甚だ謎であるが、血迷った結果なのだと思っている。

コンサルを卒業しなかった自分は、2月と3月にめっちゃ残業した。めちゃくちゃ残業した。すんごい残業した。残業する過程で、当然のようにたまるストレス。心の髄まで染み込むストレス。ついついスマホに手を伸ばし、LINEを開き、先輩に声をかけた。

そして、3月下旬に会う約束をした。

渋谷で会う

3月の金曜日の夜。春分の日なので、華金ではなく祝日。場所は渋谷。相変わらず若者が多い。祝日なので、なおさらだ。そんな中、アラフォー世代の自分は、若者が街を歩いていく姿を見て、自分自身がもう若者ではないのだと改めて感じた。

先輩と1年ぶりの再会。先輩は相変わらず洒落た格好で革のジャケットを着込んでいた。自分はグレーのパーカーで、てきとうさを感じる。もうちょっとおしゃれな人間になりたかった。

1年ぶりの再会でありながらも、LINEで頻繁に会話しているからだろうか。それほど緊張せずに会話が始まった。職場と家族以外の人と会話するのは心が弾む。

そんなこんなでコンサルとしてもがいた2人の今後のキャリアについての考え方を議論した。

コンサル業界への賞賛と不満

コンサル業界に身を置いた2人が話す会話は、当然ながらコンサルティングの話となる。話題は2つ。コンサル業界の特徴を自分なりに分析した結果と、コンサルタントを経験した後の歩むべきキャリアについて、だ。

「コンサル業界は、まぁ、経験して良かった」。

いつもこの言葉が会話の中で、1回は出る。

この言葉は、事実だ。コンサル業界で得られるものはやはり事業会社にはない異質なものである。ものというのは、スキルとマインドセットの2つだ。

スキル面の話をすると、身に付くのはロジカルシンキングと思考体力。

ロジカルシンキングは、今更語らなくてもコンサル業界に興味があるなら、いや興味がなくてもコンサル業界を語る上での特徴の1つであることは認識しているだろう。ロジカルでなければコンサルではないと言っても過言ではないと思う。ロジカルが前提で、パッションが初めて役にたつ。パッションだけあるコンサルタントはむさ苦しいだけである。

レビュー時に「だから何」は本当によく言われる。ここで「知らんがな、そんなもん自分で考えてよ」と何度レビュワーに言いたかったことか。当然そんなこと言えないので自分で、レビュワーに言われる前に考えるしかない。1回の思考につき、1回ごとに「だから何?」を自問自答する日々である。

そして、もう1つの「思考体力」。これは案外、語られることが少ない。

思考体力は、『「だから何?」をいつまで、どこまで深掘りできるか』という意味だ。少なくとも自分の中での解釈はそう。クライアントや業界の現状分析や課題、ソリューションを深掘りして、「これでようやくクライアントに見せられる」という段階まで考える体力。

入社直後、思考の浅い自分は「インターネットに書いてあった」、「誰かが言っていた」で終わりにして上司にアホ扱いをされていた(いや、今でもアホ扱いだし実際アホ)。本当に今でも恥ずかしい話だ。

そこで、上司に怒られないようにするためにどうすべきか。そうなると、地道に孤独に自分で考え続けるしかない。「この抽象的な事項って何を言いたいんだ?」、「このアイディアを上司やクライアントにぶつけたら、なんて言い返されるだろうか」、「AとBってどっちがいいんだろう、もしかしてCもありうるな、ってことはDの可能性もあるのか」、「このスライドの見た目って本当にクライアントが読みやすいのか、この言葉って一般的に使われているのか」などなど。考えるというのはどこまでも考え続けられる。パソコン閉じて寝ようとするまで、公園で菓子パン食べながら、電車の切符買いながら、いつどもどこでも思考してた。もはや中毒であるというレベルだと思う。そして中毒と同時に味わう苦痛。

そんな思考を続けていると、苦痛も慣れてくる。洗脳に近い。ここまで考えるか、のハードルが必然的に上がっていく。同時に「このままじゃダメだ」というハードルも下がるので、ボツがどんどん増えていき、さらなる深掘りの思考へとはまっていく。

コンサルで学んだことは、パワポ作成やデータ分析、ツール作成とか色々あるんだろうけど、思考体力というのはコンサルで身に付く最も根底の部分だと思う。

それは事業会社では学べない。

反対に、ネガティブな気づきも当然ある。思考体力があろうとなかろうと働き続けるには肉体と精神の体力が必要である。その体力は思考体力以上に消耗が激しい。

「いつまでも働き続けるような職場ではないよね」

これは先輩との会話だけではなく、コンサルの何割かの人材が口を揃えて言う。言わないのはパートナーとかシニアマネージャーなどコンサルとして波に乗っている人材だけだ。シニマネupがコンサルのピラミッド構造の上のほうにあるとすると、それ以外の下層の、どれだけ多くの人材が同じ感情を持っているか想像できると思う。

ここで、自信満々な人が「私はそんなことは口にしない」と感じたとする。だけど、安心してほしい。コンサルはみんな入社直後は自信に満ち溢れていて、何かのつまづきをきっかけにほとんどの人が自信を無くして「いつまでも働き続けるような職場ではないよね」と言ってコンサルを”卒業”するから。

自信があるのはあるのは当たり前。自信を無くすのも当たり前。自信どおりにバリューを出せるのはごく少数。大抵のコンサルはどこかで心が折れる。「コンサルとして求められるスキルが不足しているから」、「後輩がプロモーションして自分ができなくて焦ったから」、「長時間労働が一因となっているから」。理由なんて悲しいかな、卒業の理由なんて、いくらでもある。

幸運なのは、コンサル経験者は現状転職市場で評価されやすい点にある。結果的に自分の自信過剰が明らかになったとしても、自分のメンタルが地に落ちたとしても評価してくれる未来が、あるにはある。

自分の歩む道

先輩との会話の中で、結論らしい結論があるとすれば以下だと思う。

コンサルタントとして今苦しんでいるのであれば、コンサルティング業界に固執する必要はなく、コンサルタントとして培ったスキル、マインドセットは他業界でも十分活用できるため、転職を検討しているのであれば自信を持って、転職をすべき

はっきり言うと、コンサル業界にいると人が変わったようにスキルが3段階くらいアップしている。これは自信過剰なのではなく、事実だと感じる。ひたすらに調べて、考えて、パワポに表してアウトプットを示し続けた事実がある。例え、上司に叩かれて、部下に突き上げられて、陰口を言われて、クライアントに不満を言われてたとしてもだ。泣きながら提案書を書いて、過呼吸になりながらTeams(もちろんミュート)のレビューでボロクソに言われたとしても。

確実にコンサル業界で身につけたスキルは価値を持っているということだ。その裏付けとして、先輩は大手の事業会社でコンサルのスキルを活用している。それなりに楽しく働いているので、コンサルで苦しんだ経験が今の平穏なメンタルにつながっているのだと思っている。

同時に自分はコンサルとしてのスキルを同じ業界で活用できているかというと、先輩ほどではないとしても前職で言われた指摘内容を受けずに済んでいる。

しかしながら、自分も近い将来にコンサル業界を卒業する。どの業界に行くか、もちろん決まってはいないが言えることは自分に合った環境で能力を発揮することが重要であるということだ。

少し話は逸れるが、自己の適正分析によっては以前いた職場にカムバックすることも検討すべきであると感じる。自分の場合は中小企業支援、中小企業診断士を活用した地方創生、地域活性化、スモールビジネスの支援が軸になると思う。この深掘りもまだまだだと思っている。

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