
コンサルとして必要なデバイスの話。
コンサルタントという職業柄、毎日キーボードを叩く。叩き続ける。キーボードでクライアントへのメールや資料、ミーティングの議事録作成、データ分析、アイデアの整理、インターナルでのチャットのやり取りと、タイピングが伴わない業務はほぼ存在しない。だからこそ、手元のデバイスが自分にとってどれだけ快適で自然かという点は、仕事全体の生産性を大きく左右する。
これまでいくつものキーボードを試してきた。「静音性」「軽さ」「持ち運びやすさ」「カスタマイズ性」など、それぞれに魅力はあるが、どこか「しっくりこない」感覚が残っていた。そんな中で出会ったのが、HHKB Studio(Happy Hacking Keyboard Studio)。従来から開発者やライター、コアなキーボードファンに熱狂的な支持を受けてきたHHKBシリーズの中でも、特に“完成度が高い”と噂されるモデルだ。
とはいえ、価格は約43,000円。一般的なキーボードと比べれば圧倒的に高価で、しかも実店舗では試せない。購入するには、公式オンラインストア「PFUダイレクト」から注文するしかない。触ってから決めたい派にとっては、非常に高いハードルだ。
だが、毎日8時間以上キーボードに触れる身として、そろそろ「本気で長く使える一台」を持っておくべきではないかと考え始めていた。そして、様々YouTubeやブログなど調べて、「HHKBを使えば世界が変わる」というレビュアーたちの声に後押しされ、ついに購入を決意した。

補強のための紙をめくると、見えてくる箱。

なんか箱は結構シンプルで、家電を買った感じがしないわけで。その箱を爪で傷などを付けないために、ゆっくり開けていく。

そして透明な袋に入ったHHKB Studioを取り出した瞬間、まずその質感に驚かされた。ミニマルなデザイン、美しいマット仕上げ、持ったときの重量感と剛性。プロダクトとしての「美しさ」が感じられる。まさに、「打つための道具」としての存在感が際立っていた。
ちなみに今回はケースと、パームレストも購入。




電池やType-Cケーブルも付いてくるなんて優しい。



正直、使用初日、最初の数時間は戸惑いもあった。独自のキー配列、テンキーやファンクションキーの省略、そして、英語版を買ったので矢印のカーソルキーもなく、Fnキーを使って上下左右に移動するという謎仕様。だが、数日使ってみて気づいたのは、「この配列は思考の流れを中断しない」ように設計されているということだった。指の動きが少なく、必要最低限の移動だけで入力が完結する。無意識に打ち続けられるからこそ、まさに「呼吸するように」自然なタイピングができるようになる。

HHKB Studio最大の特徴の一つが、キーボード中央に設置された「ポインティングスティック」と「クリックボタン」だ。これはThinkPadでおなじみのトラックポイントに似ているが、よりタイトでコンパクトに設計されている。このおかげで、マウスに手を伸ばさずともカーソル操作が可能になり、資料作成や編集の効率が飛躍的に向上する。特にExcelやPowerPointで図形や表を調整する際、指をキーボードから離さずに済むのは圧倒的に快適だ。
ちなみに予備のポインティングスティックもついてきます。

また、静電容量無接点方式による打鍵の心地よさも特筆すべき点だ。キーストロークは軽く、底打ちしなくても入力が認識されるため、長時間の作業でも指への負担が少ない。これが一週間も続けば、手首や指の疲れが確実に減ったことを実感できるはずだ。
そして、Bluetoothと有線のハイブリッド対応。最大4台のデバイスと接続切替ができるため、PC・スマホ・タブレット・社用端末など、マルチデバイス環境で働く現代人にとって理想的な構成となっている。バッテリー持続時間も長く、出張や現地常駐時でもストレスを感じることはほとんどない。
さらに、HHKB Studioは「静か」だ。職場の共有スペースやオンライン会議中にカタカタ音が気になることがない。これは、クライアント先や図書館、カフェなどでも落ち着いて作業したい人には非常にありがたい。
他のキーボードと比較して異なる点は数多くあるが、特に大きいのは「ユーザーの集中力を削がない設計」であること。一般的なキーボードは、「なんとなく打てる」が、「自分の道具として馴染む」まではいかない。一方、HHKB Studioは、タイピングそのものに意識を向けることなく、ただひたすら思考をアウトプットすることに集中できる。これは生産性を何よりも重視するビジネスパーソンにとって大きな武器になる。
コンサルタントという職業においても、HHKB Studioの価値は非常に高い。たとえば、短時間で大量のスライドを仕上げなければならない場面、夜遅くの資料修正で集中力が途切れそうなとき、タイトなスケジュールの中、移動中や出張先でも最大限のアウトプットを出さなければならない場面——そんなとき、HHKB Studioは黙って背中を押してくれる。
「ただ打ちやすい」ではなく、「疲れずに、自然に、正確に打てる」こと。これは、集中力・創造性・成果のすべてに直結する。
一見すると、「高価な道具」に見えるかもしれない。だが、その価値は時間とともに体に染み込み、他の道具では代替できなくなるほどの信頼感へと変わっていく。最初は半信半疑だった私自身が、今ではHHKB Studioなしの業務が考えられないほどになっている。
人生の1/3を仕事に使うとするなら、その時間を支える道具にも妥協しない方がいい。呼吸するようにタイピングし、自然体で仕事に没頭できる環境。それを求めるすべての人に、HHKB Studioは強くおすすめできるキーボードである。
HHKBの何が課題かというと、贅沢な話だが、「重さ」だ。840g (電池含まず)。これが結構重い。カバンに入れて持ち運ぼうとするなら、なおさら重く感じる。使うなら自宅に置きっぱなしにするか。それとも重いデバイスを持ち運ぶ覚悟が必要である。
何日か使っていると、持ち運ぶことも煩わしくなった自分がいる。事実、軽めなパソコンを持ち運ぶくらいの重さに耐えきれなくなり、自宅とオフィスのハイブリッドである環境のため、自宅に置きっぱなしにしている。
そして、嵩張る。カバンの中で嵩張る。狭いカバンの中をめっちゃぶんどる。コンサルは日々本を読んでいるので、パソコンに加えて何かしらの本が入っているのに、さらにキーボードを持ち運ぶために場所をとるなんてまぁまぁ無理よ。
とは言いつつ、使いやすい、デザインもシンプルでおしゃれなので…自宅で使い続けるとやっぱり持ち運びたくなるものだろうか。
さらに、HHKB Studioの機能として、新たに追加されたのが、キーボードのわきっちょを指でさするように上下すると画面がスクロールできるんですね。しかし、これなぜかほとんど反応しない。反応したとして、上下の移動が早すぎて止まってくれない。正直使えなかった。

とまぁいろいろ課題はあるけど、しばらく使ってみようと思う。たぶん、これから慣れるでしょ。

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